タイピングゲームで速くなっても仕事の入力が速くならない理由
タイピングゲームでは良いスコアが出るのに、仕事のメールや資料作成になると思ったほど速くない——そう感じたことはないでしょうか。これは練習不足ではなく、多くのタイピングゲームが計測している「速さ」と、実務で必要な「速さ」が別物だからです。
キー判定方式のタイピングゲームが計測しているもの
一般的なタイピングゲームは、ローマ字のキーを1打ずつ判定します。正しいキーを押せば進み、間違ったキーは受け付けられず画面にも入力されません。つまり計測されるのは「表示されたローマ字の列を、どれだけ速く正確に叩けるか」です。打鍵の基礎を鍛える手段としては優れていますが、この方式にはゲームの構造上、練習できないものが2つあります。
実務の入力は「変換」と「修正」の繰り返し
1つ目は漢字変換です。日本語の実際の入力では、読みを打ったあとに変換キーを押し、候補から正しい漢字を選び、確定します。「意外/以外」のような同音異義語の選び分け、文節の区切り直し、カタカナや英字への変換——ここで使う時間は、打鍵そのものと同じくらい入力速度を左右します。
2つ目は誤入力の修正です。実務ではミスタイプは普通に画面へ入力されてしまい、気づいて、削除して、打ち直すまでがすべて自分の時間です。ミスタイプが最初から入力されないゲームでは、この「気づいて直す」動作を練習する機会がありません。
「文章を仕上げる速さ」を計測する
実務の入力速度を上げたいなら、計測すべきは打鍵の速さではなく「正しい文章が完成するまでの速さ」です。typoなおすは、キーではなく入力エリアの文字列がお題と完全一致するかを判定します。変換の選び直しも、誤変換に気づいて修正する時間も、すべてタイムに含まれます。誤ったまま確定してしまった回数は「誤確定」として別に記録されるので、「速いが雑」なのか「丁寧だが遅い」のかも見えてきます。
使い分けの目安
キー判定方式のゲームと文字列判定方式の練習は、対立するものではなく役割が違います。指がキーの位置を覚えるまでは、キー判定方式のゲームやタッチタイピングの基礎練習が向いています。キーの位置に迷わなくなったら、変換・修正込みの文章練習に移ることで、実務の入力速度が伸び始めます。ゲームのスコアは高いのに実務で遅いと感じている人は、後者の練習が不足しているサインです。